経営戦略は、内なる社員と、外なる顧客という「人を動かす」経営者の戦略

経営戦略

経営戦略は人を動かす経営者の戦略

経営「学」が“企業(組織)の行動を研究する学問”ですから、

企業という組織の運営

が経営ということになります。

では、組織とは?

  • 達成したい共通の目標を持った人々の集りで
  • 個々に脈絡なく仕事するのではなく、分業した結果を統合する

のが組織ですから、営利追及団体である企業の場合、

お金(売上金や給料)が欲しいヒト(経営者や従業員)の集まり

ということになります。

給料が出なくても働き続ける従業員は稀ですし、会社を潰さずに経営するには、

経営資金

が必要不可欠ですので、社外の銀行や、株主も、経営に参画してきます。

経営とは、お金との戦いといっていいでしょう。それが、

従業員にとっては、給料

です。

安月給の職場が敬遠されて、高給に人気が集まるのは、キレイ事は抜きにして、従業員も、お金が欲しいからです。

お金さえあれば問題の50%は解決しますからね。残る50%が、愛や命などの精神的な価値です。

それを、合法的に得るために、

モノを売っています

から、経営戦略の解釈は百家争鳴にしても、経営戦略を分かりやすく定義すると、

三大経営資源のヒト・モノ・カネを動かし、どう利益を得るか、経営者が立てる作戦

です。当然、経営戦略は、百人百様、各社ごとに異なります。

企業によって経営戦略は違うのですから、

  • 「当社の経営戦略はM&A」も正しければ、
  • 「当社の経営戦略はドミナント戦略」も正しく、

道理で、「これぞ経営戦略!」という定義が無いわけです。(あったら教えて下さい。筆者、経営学を学んだことがありませんので)

つまり、カネ(売上)のために、ヒト(社員)が集まり、カネのためにモノ(商品)を売るのですから、

カネを中心に、ヒトとモノが動く

経営戦略になります。

わかりやすくいえば、優秀な人材を採用したければ、高給を出さざるを得ませんし、

商品を売って、代金を受け取ったら、あとは、知らぬ存ぜぬになりやすいということです。

利益優先、売上至上主義であれば、それでいいでしょう。

もしも、ヒト・モノ・カネの経営戦略に、マーケティングを加えた戦略で経営するのであれば、お金よりも、お客が優先します。

さて、経営戦略の下位に位置するマーケティング戦略は、モノ(価値)を、カネ(代価)で対等に取引する相手の

お客さんが第一

ですから、モノ(商品)を売るよりも、カネ(売上)を増やすよりも、ヒト(人事)よりも、

顧客を増やす

のが第一です。

顧客を増やすといっても、新しい売上のために、新規客ばかり増やすのではありません、

新規の顧客よりも、既存の顧客を重視

します。なぜなら、既存の顧客を維持するほうが、新規の顧客を増やすよりも、1/5のコストで同額以上の売上を得られるからです(1対5の法則)

さらに、お客さんの母数となる人口が、2005年をピークに減少中ですから、新しいお客さんが増えにくくなりました。

人口が減っているのですから、向こう数十年、国内市場では、増えようがありません。

企業数も、86年の535万をピークに、-150万(!)の385万まで減少しましたし、

今後も、お客さん(個人と法人)が減り続けること必定。

そのような経営環境の中で、既存客を放っておいて、新規ばかり追い求めると、

  • なかなか新規客は増えにくいのに
  • 既存客はライバルに奪われ
  • 顧客の母数は減りゆく一方

というジリ貧になります。

それに、お金を払ってくれるだけが顧客ではありません、自分は購入しなくても、

新しいお客さんを紹介してくれる「間接客」も顧客

です。

家土地のような一生に一度の買い物は、直接客より、何度も紹介してくれる間接客のほうが重要だったりします。

紹介は、最強の新規営業ですからね。つまり、

お金を払わなければ顧客にあらず

という考え方では、新しい顧客を紹介してくれる間接客を逃してしまいます。

売上金というお金を払ってくれるのは、お客さんです。カネではありません、キャクが重要。

経営で、最も重要な資金(カネ)が欲しければ、

お金を払ってくれる顧客

を最重視するのがマーケティングです。

マーケティング戦略は、経営戦略と営業戦略の中間に位置します。

その戦略を、本などに書いたりして、提唱しているのが、このサイトを作ったマーケティング・ストラテジストの小笠原です。

それに、売上金を目標に経営すると、

  • ?給料が欲しい社員が応募してきますし、
  • 給料が増えることばかり要求しますし、
  • 金の切れ目が縁の切れ目で、会社が苦しくなれば辞めていきますし、
  • 優秀な社員を採用するには、高額の給与を提示しなければなりません 

から、金銭以外の目標が必要です。

その目標が、企業(経営)や個人(生活)の維持ですし、企業展望や企業理念といった、みんなで考えるユメであり、みんなで目指す目標です。

法人の一員として企業価値を高め、給料が高くて当たり前の会社にする

ことが社員の責任であり、その責任を負う必要の無いのが、アルバイトやパート等の非正規雇用です。

非正規は、自分の生活や、自分の夢や、自由のために働く労働者ですから、企業価値を高める必要はありません。

カネが第一の経営戦略ですと、社員とは名ばかりの、社員の皮を被ったアルバイトが集まりますから、会社を成長させるよりも、自分の給料を増やすことを考えます。なので、

  • 社員にとっては生活の維持
  • 経営にとっては会社の維持

という

共通の達成目標を、会社の成長によって実現

にするために、みんなで考えるユメが必要です。

会社を成長させることで、自分も成長する(その一つとして給料が増える)ことを目標にするのです。

顧客優先で経営するならば、キャクが必要です。このように、

経営戦略は、経営者が考える作戦

です。

マーケティング戦略を含む法人の戦略は、経営者と社員みんなで考える作戦

です。全社一丸となって、企業価値の向上へ向けて突き進む経営こそが、

  • 内なるヒト(社員)と、
  • 外なるヒト(顧客)のために、

価値(モノ)と代価(カネ)を引き換える経営。

その恩恵が、経営者や株主へと還元されていきます。まとめると、

経営戦略は、内外の「人を動かす」戦略

といっていいでしょう。

戦国時代の名将といわれた武田信玄は、奇しくも、こう遺しています。

「人は城、人は石垣、人は堀」

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