価格戦略用語集

マーケティング

オープン価格

open price system

メーカーが希望小売価格を定めず、販売店に価格を判断させる制度。

「90%OFF」のように、定価と実勢価格の差を表示できなくなるため、ブランドイメージの低下を防止できる他、競合他店の価格動向を見ながら販売価格を設定できたり、逆に、高値を設定して高利益を得ることが可能。
オッド・プライス odd price

端数価格。

端数が及ぼす値ごろ感。1,000円より、980円のほうが、20円以上の得がありそうな心理的なプライシング(価格設定)
甲板渡し価格 free on board price
生産現場や倉庫で製品を引渡すことにより、運賃は顧客に負担してもらって、届けるよりも安くする価格政策。略してFOB
価格シグナリング price signaling

価格を信号(シグナル)にして品質を表示する方法。

商品名や、パッケージデザイン、メーカーのブランド名などをシグナルにするのではなく、価格で購買が決定しがちな商品に用いられる。

銀座に第一号店を出店した71年のマックバーガー(当時80円)のように、全く新しい製品や、価値の分りにく製品の場合、値段で品質を推し量る顧客が多く、そうした製品は、高額・高利益で販売でき、ブランドの構築にも役立つ
価格伸縮(政策) price flexibility (policy)
顔見知りの奥様(超優良顧客)のみ、八百屋のオヤジが、コッソリ「値引きしておくよ」と、安く売るように、すべての顧客に、同じ値段で売るのではなく、状況に応じて価格を変動する価格政策。
価格弾力性 price elasticity
一般的に、値段が上がれば需要は減り、値段が下がれば需要は増える。その需要の変化率を示す(たとえば、価格が1%上がると、需要は、どれくらい下がるか?という)指標(数値)のこと。
価格調査 price research

幾らの値段で売れば良いか調べること。

PSM分析、コンジョイント分析、コレスポンデンス分析、 CSポートフォリオ分析など
価格感度測定法 price sensitivity meter

略して、PSM分析。

顧客に受け入れられる「最適価格」「高さの限界」「価格の安さ」といった価格受容帯を分析する手法.。
管理価格 administreted price

人為的に操作された価格。アドミニストレーテッド・プライス。

広義では、コメのように、政府の統制価格や、行政指導による価格調整も含まれるが、談合のように、需給バランスとは関係なく、限られた企業による価格操作を指す
カスタマリー・プライス customary price

慣習価格。

「缶コーヒーは100円が普通」「婚約指輪は月収の3倍」といった世間の常識に従おうとする心理に基づくプライシング
協調価格 cooperative price
市場のリーダーが定めた価格に、各社が追随して定めた価格。コーポラティブプライス
均一価格政策 uniform pricing system
郵政のグローバル・スタンダードのように、地域差によってコストに違いがあっても、均一の価格にすること。
高価主義 high price policy

値段が高くても、買ってくれる顧客を囲い込む目的で、敢えて高額に設定する価格。

ブランドが確立された商品に多い。
再販売価格維持制度 resale-price maintenance policy

略して、再販制度。

卸や小売が商品を転売するとき、メーカーが再販売価格(転売価格)を指示する制度。

CDや書籍が典型
差別価格 あるいは 価格差別化 price differentiation

価格戦略に基づき、一つの商品を、2つ以上の価格で販売すること。

  1. 顧客セグメント別の価格差別化【例】学割×%OFF。レディースデー×%OFF
  2. 時期別差別の価格差別化【例】正月価格。ランチ価格。期間値下げ(キャンペーン)
  3. 場所別の価格差別化【例】ファーストクラスとエコノミークラス。自由席と指定席。遠距離(輸送費)価格。都市と地方(売れる場所と売れない場所)
参入阻止価格 entry limit pricing

新規参入を防ぐために、安く設定する価格。

たとえ利益は低くても、新規が参入して競争が激化するよりは、新規参入を防いで、長期間で利益を得るするためにプライシングする価格
商業割引(機能割引、営業割引、仲間割引) functional discount

エンドユーザーへ直販しているメーカーが、卸や二次卸、販売店の利益も考え、販売価格を設定し、すべてのチャネルが、その価格で販売し、各チャネルの利益を確保すること。

サプライチェーン・マネジメントでは、販売力のある小売店がプライシングすることもある。
スキミング・プライス skimming price

上澄み吸収価格。

利益率の高い高価格で新製品を市場導入し、短期間で、上澄みの美味しい部分だけをすくい取る価格政策。

パソコンやオーディオ、AV家電など、価格よりも、新技術を搭載した新製品にいち早く注目し飛びつくイノベーター層を対象とする。
低価主義 low price policy

利益は小さいながらも、広範囲の顧客から支持され、かつ、長期的に利益を回収していくために、低めに設定される価格。

低価格(低利益)ゆえに競合の参入を防止しやすい反面、低価格競争を招く恐れもある。

低価主義を採るケースは、

  1. 円高差益や経営の合理化でコストダウンに成功した場合
  2. 薄利多売な業態
  3. 低価格で一気呵成に市場占有率を伸ばそうとする場合
  4. 安値を武器に販路を開拓しようとする場合
  5. 価格で差別化しようとする場合
  6. 過剰在庫(過剰発注)による損失を最小限に食い止めたい場合
  7. 安くても早く売って、資金を回収したい場合
定価制度 fixed price

誰に対しても、差別なく、定められた価格を表示して、販売する制度。

今では当たり前のように見受けられるが、昔ながらに、値引き交渉に勝利した者だけが安く買えたり、大量に購入する顧客だけが安く買える仕組みは残っている。
需要価格 demand pricing
デマンド・プライシング。観光地の(たとえば自動販売機の飲料の)値段は、高くて当たり前な、俗にいう観光地価格のように、需要に応じて、価格を変え、利益を高めるプライシング。その反対に、もともとファーストクラスしかなかった旅客機に、エコノミークラスを設け、同じ移動距離であっても、サービスに応じて価格を変える値決め。
ハロー・プライス halo price

光背(後光・威光)価格。

高額な商品は、良いものだと思ってしまうこと。

ユーザーのターゲットのランクを上げたり、他社製品との差別を図る場合、今の商品を高品質化・高価格化する価格政策。
プレステージ・プライス prestige price

声(威信)価格。

高級車のように、購入することが、社会的な名声になる高額商品の価格設定。

高額商品をラインナップすることで、企業や商品の名声を高める場合は、プレステージ・マーケティングとも呼ばれる。
ベブレン効果 Veblen effect

通常、価格が高まるのに反比例して、需要が落ちていくのとは反対に、価格の上昇とともに、需要が増加する効果。

毛皮や宝石、住宅、高級車などの「高級であることを見せびらかしたい」商品に有効。
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