営業戦略なくして経営すると起こりがちな人事戦略(ヒト)の問題


営業戦略なくして経営すると起こりがちな人事戦略(ヒト)の問題

1.営業戦略が混在すると、独立されても止む無し

営業戦略の型が混在すると、振り回されるはずのない経営戦略が、振り回されてしまうことがあります。

まず、どこの企業にでもありそうな人事戦略(ヒト)の問題。

地縁、血縁、縁故といった何らかの事情が限り、

(商材を仕入れやすい)優秀な営業マンは、待遇が良くなければ、独立するか、引き抜かれて、去って行きます。

営業職に限った話ではありません。本質的な核心で、たとえば、芸能事務所に似ています。
売れるタレントは、独立するか、待遇が良い事務所へ移籍するため、事務所は高待遇で引き止めますよね?

独立しない営業マンが優秀ではないという意味ではありません。経営者になるのと、社員のままでいるのは、別次元の話です。

ある優秀な営業マンは、

「カネ(資金)で苦労したくないから、独立しない」

と明言していましたし、別の-超-優秀な営業マンは、

「待遇は悪いけど、他に行くトコないんだよね」

と笑っていました。地方都市では、他に、勤め先がないから居るのだそうです。

「独立できる商材じゃないし」と。

はたまた、一旦、独立し、

「自分は、経営者に向いていないことがわかった」

と、戻って来る営業マンは強し。

経営者意識を身につけて帰って来ますから、雇用されている立場でありながら、経営者と同じ思考回路で考えることができます。

要するに、優秀な営業マンを、安月給で雇用し続けるのは(何らかの事情でもない限り)不可能に近いといっていいでしょう。

そういえば、近ごろ、待遇、見直していますか?

2.戦略という意識なくして無意識に立つ営業戦略

ずいぶん昔の広告代理店業界のように、独立する営業マンに、ついていく顧客も現れます。

お客さんがいなくなるのですから、売上も減ります。

離れていく顧客が、優良顧客だった日にゃ、目も当てられません。

そうなると、営業戦略や経営戦略どころの話じゃありません、焦眉の急の死活問題です。

ある社長が仰っていました。

「うちの財務体質じゃ、戦略もヘッたくれも、あったモンじゃありませんよ」

資金(お金)に余裕がないため「毎日、売りまくるしかない」そうです。

すると、すぐに代金(お金)を払ってくれそうなお客さんのみ相手するようになり、売上にならない既存客には無沙汰します。こうして「休眠客」が生まれます。

いわずもがな、休眠客は、努めてゼロにしなければなりません。

一度でも取引のあった休眠客は、ニーズが発生した実績がありますから、

  • いつ、また、売れるか、もしくは、
  • 取引を体験していますので、紹介者になる可能性があります。

紹介が「最強」の新規営業と知りつつ、その芽を摘む(忘れ去られる)ことになりますが、それはそれで、

  1. すぐに売れるお客様だけが、お客様(ここに、ヒト・モノ・カネを集中する)
  2. またいつ売れるか分からない既存客は、放置(ライバルに取られても構わない)
  3. 紹介者は(積極的に)要らない
という、営業戦略の名なくして、無意識に立つ営業戦略が出来上がります。



3.優秀な営業マンを中途で採用するのが難しい現実

さらに、どこの企業にでもありそうな人事戦略(ヒト)の問題は続きます。

・現在の既存客(一般客以外の優良顧客)
と、
・現在の営業マン

では、もはや、売上の限界に達すると、新規のお客様を増やすべく、営業マン
を増やす(採用する)人事戦略が考えられます。

(もっとも抑えたいはずの固定費 = 人件費を増やす経営戦略になります)

そこに、大きな「理想と現実のギャップ」が存在します。

ひとくちに、営業マンが欲しいといっても、誰でもいいわけじゃありません。

そりゃ、どこの企業だって、優秀な営業マンが欲しい。

では、優秀な営業マンとは?

新規営業に限っていえば、朝礼が終わると「行ってきます」と出かけていって、

夕方「売ってきました」と帰って来る営業マンです。

理想的ですよね(笑)

たとえて言うなら、テニスの松岡修造さんのような、元気いっぱいの営業マン
か、
踊る大捜査線の青島刑事のような、にこやかで、溌剌とした営業マンでしょう。

そんな営業マン、一流企業だって、零細企業だって、どこの企業だって欲しい
ですよね?

みんな、狙っています。有名企業も、無名企業も。待遇の良い企業も、安月給が精一杯の企業も。

でも、ご安心ください。そんな優秀な営業マン、募集したって、来ません。

そんな100点満点の営業マンは、すでに独立しているか、何らかの事情でヘッドハンティングできないか、高待遇で警視庁に(笑)勤めています。

4.カネをかけるか?手間をかけるか?社長の判断はどっち?

青島刑事のような100点満点の営業マンじゃなくてもいいから、欲しい。

そこで、採用してから、育てることになりますが、採用した全員が全員、育つとは限りません。

営業職には、適性があります。

開発職にも、あります。

経理職にも、あります。

適性があれば、教えるほどに伸びていきますが、無ければ、社員も会社も不幸。

しかしながら、整理解雇の四要件なくして、解雇できませんので、

  • 売れない営業マンが居たたまれなくなる針をむしろを布くか、
  • 適性はないと分かっていても、依願退職まで、雇用し続ける

ことになります(他にも、沢山のパターンがあります)

適性ばかりは、雇用してみなければ分かりません。その適性を見極めるために、

  • 人件費(給料)と、
  • 募集経費と、
  • 教育費

をかけ、徹底的に、何年も、何年も、短期的に売る繰り返しが、林業型の営業戦略で、それで伸びてきた有名企業は何十社もあります。

要するに、林業型の営業戦略は、ヒト(人事)とカネ(財務)の負荷が大きい。

そのカネをかけ続けるか?最小限に抑えるか?を決められるのは、経営者のみ。

カネをかけなければ、手間をかけるのみ。顧客を育てる農業型の営業戦略です。

いずれにせよ、

  • 社会の求めに応じる価値を届けべく、営業活動するのか?
  • 経費が膨らんだ自社を維持するために、営業活動するのか?

本音は後者であっても、かけるカネがなければ、手間をかけるしか、ありますまい?

  • カネをかけて、社員を採り、養い、育てるか?
  • 手間をかけて、顧客を育てるか?

の経営判断です。

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