ヘアサロン経営のマーケティングは顧客満足の数だけ店舗を増やす

1.顧客に合わせた戦略を布くサロン経営

ヘアサロン業界について、
  1. お客さんの数よりも、美容院の数が多い、オーバーストアであること
  2. 集客に傾注していること(マーケティング = プロモーションであること)
  3. 経営課題は「顧客の減少」「顧客の増加」なのに、情報源は顧客が二の次
  4. 美容院 = 店舗であること(無店舗販売は視野にないこと)
  5. 理髪店の男性客を、奪えるにもかかわらず、奪わないこと
  6. 誰が買うのか?ターゲットやセグメントが曖昧であること
  7. 顧客を奪いあう相手であるはずの同業他店と(同じセミナー等へ参加するなどして)情報を共有し、相談し合っていること
の七点を分析しました。
https://0gasawara.blogspot.jp/2017/12/biyousitu.html

もちろん、反論もあるでしょう(笑)

「誰が買うのか?って、美容だもの、女性に決まってんじゃん」と。

いやさ、ひとくちに女性といっても、

  • 10代~20代の独身女性なら、繁華街の、おしゃれな美容室になりますし、
  • 子育て世代なら、住宅街で、子供を預けられる美容院になりますし、
  • 50代以上の女性を狙うなら、居心地の良い美容院になりますし、
  • 高齢者や、冠婚葬祭なら、出張美容になる

でしょう。このように、顧客によって、出店場所も、店内設備も、投資する金額も変わります。経営戦略、とりわけ、顧客戦略です。

それを、「お金を払ってくれるなら、誰でもいいから、いらっしゃーい」と、手ごろな物件を求め、開店すれば、集客に追われることになります。

女性ならば誰でもいいという

戦略ミスを、集客の戦術では補えません

し、広告やチラシ等による集客は、最終的に、値引き行為になりますので、少なく抑えるに越したことはありません。

わかりやすくいえば、集客のススメは、値引きのススメと同じこと。

チラシとか、ホームページとか、プロモーションなる値引き行為へ資金を注入するよう勧める

外部の意見に耳を貸すのは自由

ですが、まず、プロモーションを抑え、リピーターを確保するには、美容室が売っている商品の本質を見極める必要があります。

では、美容室が売っている商品の本質とは?

2.顧客満足度が低ければ、二度と来ない(他へ行く)

美容院が売っている商品の本質は、あきりたりな話ですが、お客様の満足です。

「なんだよ、顧客満足かよ~」とガッカリしました?(笑)

顧客満足と聞いてガッカリする前に、
  1. 顧客の定義と
  2. 満足の定義と
  3. 顧客満足“度”の計測
について再考してみましょう。

いずれも、このサイトで取り上げましたので、簡単に触れるのみにとどめますが、
  1. 顧客とは、弱き味方です。自分ではカットできない弱みを代価で補います。顧客は、あらゆる味方の核です。
  2. 満足とは、幸せの指数です。幸福 = 満足“度” - 不満“度”
  3. 顧客満足“度”は、数値です。SD法やリッカート法で計測できます。
顧客とは?満足とは?については、スタッフの皆さんで話し合ってみて下さい。

もしかしたら(客商売にもかかわらず)、一度も、考えたことが無かったかも知れませんよ(怖)

3.美容院の関与度はコンビニに近似 

次に、3の顧客満足度。

顧客満足度が高ければ、リピートする…というよりも、低ければ、もう来ません。

当たり前ですよね。二度と来るかぁってナもんです。

だから、高めなければなりません。単純な話です(笑)

しかしながら、
「顧客満足度が高くてもリピートしない」
という声を聞きますが、では、

「顧客満足“度”を、計測しましたか?」

と聞くと、ほぼ100%、肌感覚で測定していて、数値は計測していない模様。

数値を計測して、統計が出ているなら分かります(統計を見せてもらえばいい話です)し、

顧客との接触が保たれていて、なおかつ、リピートする顧客階層なのか?(通りすがりの飛び込み新規客ではないのか?)

という分析あっての
「顧客満足度が高くてもリピートしない」
なら分かりますが、

数値を計測せず、分析せず、どうして
「顧客満足度が高くてもリピートしない」
と結論づけられましょう?

顧客満足度が高くても、リピートしないのは、上記のような分析結果であるか、あるいは、そのサロンへ行く理由がないからです。

その美容院のスタッフにとって、その美容院は唯一無二の存在かも知れませんが、

お客さんにとっては、そこへ行く理由がない限り、どこでもよく、

その関与度が、コンビニに似ているということは、
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/riyouten24_7_5.pdf

  1. 近いから
  2. お店の前を通りかかって
店舗を増やすのが美容院のマーケティングになります。

つまり、生活導線上で開店していれば、A美容室であろうと、B美容院であろうと、どちらでもいい

のですよ。Aへ行く理由がなければ、BでもCでも。

(ひるがえせば、A店もB店もC店も、同じ店舗にしてしまえばいいのです)

これぞ、顧客満足の数だけ店舗を増やす戦略です。

ご自分の力量だけで増やさなくてもいいんですよ?他人の力を借りたって。



4.誰一人として同じオーダーの組み合わせは無い理美容

 「当店には、強みがある。USPがある」

それが、行く理由になっているのでしたら、結構なことです。その強みに惹かれて来店しているのかどうか、お客さんに確認してみて下さい。

もしかしたら、それは思い込みであって、お客さんは、近いから来ているだけなのかも知れませんよ?(バイアス)

関与度が低いということは、その美容室へ行く理由は『当店の強み』一点ではありません。

誰一人として同じオーダーはありませんから、100人のお客さんがいれば、100の理由があります。

スタイリストさんが、業界の常識を押し付けることなく、極力、お客さんの要望に応えようとするがゆえに、却って、お客さんの要望は、微に入り細にわたって、一人一人、異なります。

それを知るには、アンケートを取ることです。

「なんだよ、アンケートかよ~」

とガッカリしました?(笑)

では、よくよく考えてみて下さい。お客さんが、カットイスに座って、

「このようにカットして下さい」

と、要望を伝えますね?

その間、数十秒。

カウントしてみると分かるでしょう。一分以上のお客さんは、例外的に少ないことが(世間話は別にして)

わずか数十秒で、どれだけの情報が、どれだけ的確に伝わります?

お客さんが伝えたいオーダーは、切る髪の長さのみならず、

  • むやみに話しかけないでほしい(その逆に、話しかけてほしい)
  • カラーリング中に読む雑誌を選びたい。テキトーに持ってこないでほしい。
  • シャンプーの湯温が適温か確認しないでほしい(その逆に、確認してほしい)

等々たくさんありますよね?誰一人として同じオーダーの組み合わせはありません。

5.数十秒では新規客のインサイトまで伝わらない

 こうした本音を、マーケティングでは、インサイトといい、

  • お客さんが自覚しているインサイトもありますし、
  • お客さんが自覚していないインサイトもあります。

さらに、自覚していても、

  • 話す場合もありますし、
  • 話さない場合もあります(恥ずかしい、面倒くさい、言いたくないetc.)

インサイトが満たされた時、お客さんは満足します。顧客満足の発生です。

こうした多種多様なインサイトを訊く、あるいは、推察するのに、数十秒で足りますか?

牛丼ならば「大盛り、ねぎ抜き、つゆだく」の3秒で伝わりますが、美容院の商品は、技術という無形財であり、サービスという無形商品ですから、

目に見えない商品への要望を、素人のお客さんが伝え、玄人の美容師が訊く。

その情報を、数十秒で交わし、足りない情報は施術中に補っているのが、現在の美容院ですよね。

これ即ち、情報量の不足。

かゆいところへ手が届かない原因です。情報を伝えるには、

  • 書くか(見せる)か
  • 話す

しかありません。話す時間がなければ、書いてもらう(か見てもらう)しかありません。他に伝達方法があるとすれば、テレパシーです(笑)

書いてもらうのが、アンケートです。

6.事前と事後のアンケートで顧客を知り尽くす

アンケートと聞くと、A4判一枚の票を思い浮かべる方々が多いと思いますが、顧客情報を細やかに収集する場合、アンケート冊子を用いることがあります。

冊子を使うアンケートは珍しいので、検索してもヒットしないでしょうけれど、筆者の経験では、不動産関係(デベロッパー等)が多かったですね。

そのアンケート冊子を、店頭の目立つところへ配置し、「ご自由にお持ち下さい。ご自宅で、じっくり書いて、後日、ご持参ください」と、誰でも自由に持ち帰られるようにしておきます。

何冊配布し、何冊回収できるか?が鍵です。

アンケートだからといって、無味乾燥でなければならないルールはありません、持ち帰りたくなるような魅力的な冊子にしましょう。写真やイラストを載せたっていいんですよ?

お店の前を通行するすべての人々が疑似客ですので、お手空きの時間があれば、手渡し(DH)して下さい。

路面で、単なる手渡しでは、あまり受け取ってもらえませんので、戦法級まで落とし込んで工夫して下さい(本稿ではDHの戦法まで触れません)

アンケート票を用いて、事前にカウンセリングを行う美容院もあるようですが、

  • カウンセリングが面倒というお客さんもいますし、
  • カウンセリングの時間が無駄というお客さんもいます

ので、持ち帰って、じっくり書いてもらいましょう。

店内で書いてもらうのは、施術後の感想です。こちらは、A4判一枚に、

○○はいかがでしたか?

と満足度を尋ねます。これで、顧客満足度を計測できます。

冊子アンケートと、施術後の感想は、パソコンに入力して、次回、同じ顧客が来店した際、
氏名と生年月日や・メンバーズカード(会員番号)
を伺うだけで、その顧客の考え方や好みが誰でも分かるようにしておきます。やることは、たったこれだけ。

  1. アンケート冊子を作る
  2. 施術後のアンケート票を作る
  3. リサーチを実施する
  4. 調査結果を、顧客データベースに入力する
  5. 顧客満足度を計測する
  6. 顧客満足度をもとにプロモーションを展開する

カード型のデータベースを使うのが難しければ、美容院専門のデータベースが市販されていますが、スタッフによる顧客情報の取り扱いには要注意。

7.ヘアサロン業界のマーケティングも、リサーチに始まり、リサーチに終わる

以下は細部になりますので、ご興味がなければ、読み飛ばして下さい

質問項目が多くなると、回答率も下がるように思われますが、人は、自分の

わがままを叶えるためには回答します

から、こと細かに聞きましょう。もちろん、答えられる範囲で。

漠然とした答えにくい質問ではなく、答えやすいよう、詳細に質問して下さい。

答えにくいアンケートはNGです。

たとえば、某美容室で、事前カウンセリングで書き込むアンケート用紙に

「スタッフへのお願い」

と書かれてあるのを見かけたことがあります。人は、

お願いという漠然とした質問には答えにくい

ものですし、スタッフへ「お願い」するような言葉遣いは、避けるべきでしょう。
「何様なんだ?ここのスタッフ」
と勘ぐられる危険性があります。

キャッチコピーを例示するまでもなく、戦法級(テクニック)は、言葉ひとつで、台無しになります。充分に吟味して下さい。

「スタッフへのお願い」と書くくらいなら、

  • [Q]施術中に、話しかけられるのは、どうですか?
  • A)会話しながらカットしたい
  • B)話しかけられても、話しかけられなくても、どちらでもいい
  • C)必要以外は会話したくない
  • D)気分によるので、その都度、確認してほしい
  • E)その他(_______)

と噛み砕いて質問したほうが答え易くなりますし、的確なコミュニケーションを図ることができます。

そうすると、当然、質問項目が多くなります。A4判一枚では収まり切れません。なので、物理的に、冊子アンケートになります。質問文のみならず、アンケートの中には、

  • [Q]*ページから*ページのモデルの中に、似せたい髪型は、ありますか?
  • [Q]参考にしたいタレントの顔写真がありましたら、添付して下さい
  • [Q]お気に入りのヘアスタイルの過去の写真がありましたら、添付して下さい

と、ビジュアルで答える質問も用意しましょう。

  • 視覚で答える
  • 文章で答える
  • 選択肢を選んで答える

のように、多角的に、顧客の本音(インサイト)を探りましょう。
冊子は、複数ページありますので、

  • ご持参いただくと○○%OFFといったクーポンや、
  • お友達に渡して下さいとFtoF(フレンド ゲット ア フレンド)

を仕込むこともできます。

企業パンフレットよろしく、お店の理念や強み、スタッフ紹介、メニュー等を載せることもできます。

要するに、リサーチのみならず、販促にも、広報にも、営業にも使えます。

つまり、広告を除く、すべてのプロモーションを網羅できます。

軸は、顧客ですから、先ず、すべきことは、お客さんを知る、リサーチです。

顧客を知り 己を知れば 百戦あやうからず。

では、ご健闘を祈ります (-人-)

ここから先は余談です

美容院のスタッフや、経営者を対象としたセミナーで"顧客の十戒"が紹介されているそうで、
無料のセミナーであれば大歓迎ですが、たとえ、有料のセミナーだったとしても、筆者は無関係ですので、ご承知おき下さい。

(筆者がセミナーに招かれて、有料で講演することはあります)

なぜか、ヘアサロン業界が多いようで、これまで、何件かの問い合わせに、

「顧客十戒の下欄に、商用の利用を禁じると書いてあるのに、有料のセミナーで配布されていましたが、どうなっているんですか?」

とか、

「コンテンツ使用料として、マージンを取っているんですか?」
といったメールが寄せられてきましたが(泣)

どこで、どう使われているか存じ上げませんし、美容業界に限らず、セミナーの講師から、使用許可を求められたことなど、一度もありません。

一部には、顧客十戒を、自分で作ったように使用しているコンサルタントもいるそうですが、それを筆者がパクったわけではありませんので(笑)、誤解のないようお願い致します。

そうした問い合わせメールのやりとりがメンドーでfacebookをヤメたくらいですから(苦笑)

ところで、
  • びよういん(美容院)と、びょういん(病院)
  • びようしつ(美容室)と、びょうしつ(病室)
音が似ていますよね?

こういう時こそ、英語の特質を活かして、ビューティーサロン(Beauty salon)か、ヘアサロン(hair salon)に統一したほうがいいと思いますが、業界の皆様、いかがでしょう?

編集後記

ヘアサロン業界のマーケティング、いかがでしたか?

これまでも、リフォーム業界、ラーメン業界、士業、スーパーマーケット業界、クリーニング業界、アパレル業界、家具業界等々、

いろいろな業界を取り上げてきましたが、お客さんへ向いているようで、向いていない業界って、結構あるんですよね。

顧客が第一ではない(のに顧客第一と謳っている)業界です。

一つだけ例を挙げると、賃貸不動産業界。

賃貸は、事実上、物件オーナーの代理業ですので、入居者よりも、大家さん重視。

新規の入居者をゲットしたら(仲介料を受け取ったら)、もう、なしのつぶてなのは、ご存知の通り。

リストがあるのに(入居者の氏名も住所も電話番号も全~部わかっているのに)リピート化する戦略を放棄する(気づかない?)なんて、もったいない話です。

まだまだ沢山ありますが、業界の当たり前ではなく、顧客を軸に戦略を立てると、
もつれた糸が、するすると解ける(ほどける)ことは確か。

ところが、業界の当たり前に気づかないんですよね、そもそも。経営者はじめ全社員が、業界人ですから(苦笑)

お客さんの目で見るには、業界の門外漢に見てもらう他ありません。

当り前ですよね、お客さんは、業界人じゃありませんから。

さて、次は、何業界を取り上げようかしらん。ふふ。

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